他業界から推測する10年先の介護業界

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更新日
執筆者久積 史弥
コラムテーマ障がい者就労支援,新規事業,セミナー・研究会のご案内
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コラムをお読みいただきありがとうございます。
船井総研の久積です。

突然ですが、皆さんは「保育業界の今」をご存じでしょうか?

2015年に保育士処遇改善加算を開設し、2022年2月にはさらに月額9,000円の引き上げを実施しました。
それでも保育士不足は解消されていません。こども家庭庁の資料によると、2025年1月時点の保育士の有効求人倍率は3.78倍。
全職種平均の約3倍近い水準が続いています。
処遇改善加算を積み重ねるだけでは、構造的な人材不足は解決できないことを保育業界から学ぶことができます。

そして今、経営への影響が出始めています。
帝国データバンクの調査によると、2025年上半期の保育園運営事業者の倒産・休廃業・解散は22件で前年同期比7割増。特に内部留保が薄く経営体力の乏しい中小事業者から運営が立ち行かなくなるケースが増加しています。

「うちの業界は介護だから違う」とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかしながら、公定価格への依存体質、処遇改善加算頼みの賃上げ、そして経営体力のない事業者から順に淘汰が始まる構造は介護業界が数年後に歩むかもしれないことを示唆しています。

保育業界の中でも持続的に発展している法人には共通点がありました。
その一つは、「複数の事業軸を持っていた」ということです。

複数ある多角化の選択肢の中で重要なのは「自社に合う一手」を選ぶこと

多角化といっても、その手段は一つではありません。
介護事業者が現実的に検討できる選択肢を整理すると、大きく以下の方向性があります。

一つ目は自費サービスへの展開です。
身元保証事業や生活支援サービスなど、介護保険外の収益源を持つことで報酬改定リスクをヘッジできます。

二つ目はM&Aによる事業拡大です。
単独での体制強化が難しい場合、他法人との統合や事業譲受によって、スケールメリットと人材基盤を一気に獲得する方法です。

三つ目は、医療・住宅分野との連携です。
訪問看護やサービス付き高齢者向け住宅との複合化により、重度利用者の対応力と収益の多層化を同時に実現します。

そして四つ目として、近年注目度が急速に高まっているのが障がい福祉サービスへの参入です。
特に就労継続支援事業への展開です。
なぜ今、介護事業者にとってこの選択肢が有力なのか、次章で詳しく説明します。

多様な人材が「共存する場」が、採用力と定着率を同時に高める

就労継続支援事業が介護事業者にとって有力な多角化先である理由の一つ目は「人材面」の相乗効果です。
介護スタッフと就労支援員の業務領域には重なりが多く、法人内での兼務・異動が現実的な選択肢になります。
採用においても「介護だけでなく、福祉全般に関われる職場」というブランディングが可能になり、求職者の母数が広がります。

実際に関西圏で就労継続支援を複数展開するA社では、介護部門との人材交流を仕組み化した結果、繁忙期の欠員リスクを大幅に低減することに成功しています。
「採用コストが下がったというより、そもそも人が離れにくくなった」と社長は話してくれます。
その背景には、多様なスタッフが互いの強みを補い合う現場文化が根づいていたことがあります。

さらに、就労継続支援事業が優れている理由の二つ目は、収益構造の分散です。
介護報酬と障害福祉サービス等報酬という2つの公定価格体系に収益基盤を分散できます。

東海圏のB社では、既存デイサービスの空き時間・空きスペースを活用してB型事業所を併設し、固定費を抑えながら新たな収益ラインを構築しています。

今現在は障がい福祉業界へ参入したい法人様が増えています。
そこでよく出る課題は人員配置基準、サービス管理責任者の確保、介護部門との指揮命令系統の整理ですが、この設計を立ち上げ前の3ヶ月で仕上げられるかどうかが早期黒字化へのスピードを左右するため、興味のある方は個別にご相談ください。

障がい福祉事業への参入 ~就労継続支援と介護の相乗効果~

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開催概要

【大阪開催】
2026年7月10日(金) 10:00〜12:30
船井総研グループ大阪本社 サステナグローススクエア OSAKA(梅田)

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執筆者 : 久積 史弥

理学療法士として病院、介護会社の事業責任者を経験した後に船井総合研究所に入社。前職では看護師、理学療法士、事務など約30名をマネジメントしながら営業を行い高収益事業所として組織を牽引した実績を持つ。 現在は、介護・医療・保険外(自費)と幅広い領域でコンサルティングを行う。 人財採用・育成による組織活性化、Webマーケティング・営業による顧客獲得を得意とし、事業を前進させる手腕に定評がある。