【就労継続支援B型対応】医療連携体制加算の算定要件と単位数を徹底解説

  • 障がい福祉
公開日
更新日
執筆者松本 夏奈
コラムテーマ障がい者就労支援,加算・減算
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障害福祉サービスにおいて、医療的ケアが必要な方や体調管理が難しい利用者様が安心してサービスを受けられるようにサポートすることは非常に重要です。医療機関等と連携し、看護職員が事業所を訪問して看護を提供したり、職員に医療的ケアの指導を行ったりした事業所を評価するため、「医療連携体制加算」が設けられています。このコラムでは、障害福祉サービスにおける「医療連携体制加算」について、算定要件、単位数、対象となるサービス、そして実務上の注意点(実地指導で指摘されやすいポイントなど)を分かりやすくご説明します。

医療連携体制加算とは?(制度の概要)

医療連携体制加算とは、障害福祉サービス事業所と医療機関等との連携により、看護職員が事業所を訪問して利用者に対して看護を行った場合や、介護職員等に喀痰吸引等に関する指導を行った場合等に算定できる加算です。2024年度の報酬改定でも重要な加算と位置づけられており、医療的ケアを必要とする利用者に対するケアは単価が高く、そうでない利用者に対しては低く設定されています。

【一覧表】就労継続支援B型の医療連携体制加算の単位数

就労継続支援B型における医療連携体制加算は、以下の通りⅠ~Ⅵの区分に分かれています。
※1回の訪問で対応できる利用者は、看護職員1人につき上限8人までです。

加算区分 単位数(1 日につき) 要件・看護の提供時間
医療連携体制加算(Ⅰ) 32 単位 看護職員が事業所を訪問して利用者(8人を限度)に対して看護を行った場合(1 時間未満)
医療連携体制加算(Ⅱ) 63 単位 看護職員が事業所を訪問して利用者(8人を限度)に対して看護を行った場合(1時間以上2時間未満)
医療連携体制加算(Ⅲ) 125 単位 看護職員が事業所を訪問して利用者(8人を限度)に対して看護を行った場合(2時間以上)
医療連携体制加算(Ⅳ) 利用者1人:800単位
利用者 2 人:500 単位
利用者 3 人以上 8 人以下:400 単位
看護職員が事業所を訪問して医療的ケアを必要とする利用者に対して看護を行った場合
医療連携体制加算(Ⅴ) 500 単位 看護職員が介護職員等に対し、喀痰吸引等に係る指導のみを行った場合
医療連携体制加算(Ⅵ) 100 単位 研修を受けた介護職員等が、喀痰吸引等を実施した場合

就労継続支援B型で医療連携を導入するメリット

就労継続支援B型でこの加算を活用することには、以下のメリットがあります。

利用者の健康管理の強化: 定期的な健康状態の確認により、体調が不安定な利用者も安心して日々の通所や作業活動を安定して継続できます。
職員の支援体制の向上: 看護職員から喀痰吸引などの指導を受けることで、現場スタッフの医療的知識や対応力が高まります。
事業所の経営安定: 最大で1人あたり800単位(区分Ⅳの場合)が基本報酬に加算されるため、収益性が向上し、事業所経営の持続性確保に繋がります。

算定するための必須要件(チェックリスト)

加算を確実に算定するためには、以下の要件を満たし、実務フローを遵守する必要があります。

①医療機関等との委託契約と同意書
医療機関や訪問看護ステーション等と文書による委託契約を締結し、費用を支払う必要があります。また、医療機関に個人情報を提供するため、事前に利用者から同意書を得ておくことが求められます。

②医師の指示書の取得
利用者ごとに、主治医から具体的な看護内容(看護理由、必要回数など)が記載された指示書を書面で受けることが必須です。

③個別支援計画への記載
主治医の指示に基づく看護内容や医療連携について個別支援計画に明記し、定期的に看護の提供状況を主治医に報告する必要があります。

④記録と体制の整備
実施された看護や喀痰吸引等の内容、対象者、実施時間などを正確に「看護記録」に記載し、事業所に保管することが求められます。

【Q&A】実務で迷いやすいポイント

Q1. 事前の届出は必要ですか?
A. 指定権者への事前の届出は不要です。ただし、事前の要件チェックがないため、実地指導で厳しく確認される傾向があります。要件を満たさない状態で請求し否認された場合、全額返還となるリスクがあるため注意が必要です。

Q2. 1回の訪問で何人まで対応(算定)できますか?
A. 看護職員1人につき、全体で「最大8人の利用者様まで」算定可能です。医療的ケアを必要としない方(加算Ⅰ〜Ⅲ)であっても、必要とする方(加算Ⅳ)であっても、共通して8人が上限人数となります。

Q3. 医療的ケアを必要としない利用者に対し、バイタルサインの測定のみを行う場合も算定できますか?
A. 算定可能です。医師の指示によるものであれば、バイタルサインの測定のみでも対象となります。指示書に測定の目的や必要性の根拠を明確に記載してもらうことが重要です。

Q4. 事業所が直接雇用している看護職員が行った場合も加算の対象になりますか?
A. 対象になります。ただしこの場合も医師の指示に基づいて行われる必要があり、直接雇用の際の雇用契約書等が必要です。また、人員基準上配置が求められる看護職員が行う業務時間は、常勤換算の時間数には含められません。

まとめ:適切な医療連携体制を収益と支援の質に繋げるために

就労継続支援B型における医療連携体制加算は、医療的ニーズのある利用者が安心して作業・通所できる環境を整え、事業所の支援力を大きく向上させる仕組みです。加算単価が大きい一方で、主治医の指示書、個別支援計画への記載、契約書類、正確な看護実施記録などが欠けていると、実地指導で否認され多額の返還を求められるリスクがあります。事業所内で書類の管理フローを統一し、正確な記録体制を整えましょう。

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執筆者 : 松本 夏奈

大学卒業後、船井総合研究所に新卒入社。 現在は、障がい福祉業界専門コンサルタントとして、主に児童発達支援・放課後等デイサービス・就労継続支援の立ち上げや運営改善を支援。 経営者に伴走し、業績アップに貢献していくのはもちろん、 その先にいる現場スタッフと利用者の満足度と質を向上させることに注力することで、長く生き残り、持続的に成長し続ける企業の創出に尽力している。