【就労継続支援B型対応】就労移行支援体制加算の算定要件と単位数を徹底解説

  • 障がい福祉
公開日
更新日
執筆者松本 夏奈
コラムテーマ障がい者就労支援,加算・減算
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障がい福祉において、利用者さんの一般就労への移行を支援することは重要な役割の一つです。そうした利用者さんの社会参加を促し、就職支援に積極的に取り組んでいる事業所を評価・支援する「就労移行支援体制加算」という制度があります。このコラムでは、就労継続支援B型事業所向けに、「就労移行支援体制加算」の算定要件、単位数、そして実務上の注意点を分かりやすくご説明します。

就労移行支援体制加算とは?(制度の概要)

就労移行支援体制加算とは、就労継続支援B型事業所において、前年度に事業所を利用していた方が一般企業などに就職し、その後6ヶ月以上継続して職場に定着(雇用継続)した場合に、翌年度の1年間算定できる加算です。この加算の大きなポイントは、障がいのある方の社会参加を促し、事業所が就職支援に積極的に取り組めるよう報酬面から下支えし、評価する仕組みであることです。

【就労移行支援体制加算(Ⅰ)~(Ⅳ)の違い】
本加算には(Ⅰ)〜(Ⅳ)の4区分があり、基本報酬の算定区分(人員配置、定員、平均工賃月額など)に応じて算定できる加算区分が整理されています。

加算区分 対象となる人員配置 単位数を決める要素
(評価基準)
就労移行支援体制加算(Ⅰ) 6:1 または 7.5:1 平均工賃月額と定員
就労移行支援体制加算(Ⅱ) 10:1 平均工賃月額と定員
就労移行支援体制加算(Ⅲ) 6:1 または 7.5:1 利用定員(工賃の評価なし)
就労移行支援体制加算(Ⅳ) 10:1 利用定員(工賃の評価なし)

就労移行支援体制加算の単位数(就労継続支援B型)

就労継続支援B型における本加算の単位数は、区分や定員規模、人員配置、さらには平均工賃月額によって細かく分かれています。以下は定員20人以下の場合の代表的な単位数の一例です。

就労移行支援体制加算(Ⅰ)

基本報酬の区分/利用定員 20人以下 21人以上40人以下 41人以上
60人以下
61人以上
80人以下
81人以上
4万5千円以上 93単位 49単位 35単位 27単位 22単位
3万5千円以上 4万5千円未満 86単位 44単位 31単位 24単位 20単位
3万円以上 3万5千円未満 79単位 40単位 28単位 21単位 17単位
2万5千円以上 3万円未満 72単位 36単位 24単位 18単位 15単位
2万円以上 2万5千円未満 65単位 32単位 21単位 16単位 13単位
1万5千円以上 2万円未満 58単位 28単位 18単位 13単位 11単位
1万円以上 1万5千円未満 51単位 23単位 14単位 10単位 8単位
1万円未満 48単位 22単位 13単位 9単位 7単位

就労移行支援体制加算(Ⅱ)

基本報酬の区分/利用定員 20人以下 21人以上40人以下 41人以上
60人以下
61人以上
80人以下
81人以上
4万5千円以上 90単位 48単位 34単位 27単位 21単位
3万5千円以上 4万5千円未満 83単位 43単位 30単位 24単位 19単位
3万円以上 3万5千円未満 76単位 39単位 27単位 21単位 16単位
2万5千円以上 3万円未満 69単位 35単位 23単位 18単位 14単位
2万円以上 2万5千円未満 62単位 31単位 20単位 16単位 12単位
1万5千円以上 2万円未満 55単位 27単位 17単位 13単位 10単位
1万円以上 1万5千円未満 48単位 22単位 13単位 10単位 7単位
1万円未満 45単位 21単位 12単位 9単位 6単位

就労移行支援体制加算(Ⅲ)

利用定員 単位数
20人以下 42単位
21人以上40人以下 18単位
41人以上60人以下 10単位
61人以上80人以下 7単位
81人以上 6単位

就労移行支援体制加算(Ⅳ)

利用定員 単位数
20人以下 39単位
21人以上40人以下 17単位
41人以上60人以下 9単位
61人以上80人以下 7単位
81人以上 5単位

算定するための必須要件(チェックリスト)

就労継続支援B型で就労移行支援体制加算を確実に算定するためには、以下の要件を遵守する必要があります。

雇用継続6ヶ月の達成

前年度に当該事業所で就労継続支援B型の支援を受け、その後企業等で継続的に就労した期間が6ヵ月間に達した者が1人以上いること。

雇用契約に基づく就労であること

「企業等で継続的に就労」とは、企業等との雇用契約に基づく就労を指します。A型事業所等の福祉的就労への移行や、施設外支援の対象となるトライアル雇用は対象外となります。

人数および過去の実績による制限

・年間で算定可能な就労定着者数は、その事業所の「定員数まで」となります。
・過去3年間において、当該事業所やその他の事業所で既にこの加算を算定された利用者は、原則として対象外となります。

指定権者への事前届出

算定を開始する月の前月15日ごろ限まで(※自治体により異なるためご確認ください)に、都道府県知事または市町村長へ必要書類を提出し、事前に届出を行っていること。届出には就職した利用者の名簿や、雇用継続を証明する書類(在籍証明書や給与明細のコピーなど)が必要です。

【Q&A】実務で迷いやすいポイント

Q1. パートやアルバイトでの就職も対象になりますか?

対象になります。企業との雇用契約に基づく就労であれば、雇用形態や労働条件は問われません。

Q2. 就職者が半年経つ前に転職した場合、定着者としてカウントできますか?

一定の要件を満たせばカウント可能です。就職後6ヶ月以内に労働条件改善のための転職支援等を実施した結果、離職後1ヵ月以内に再就職した場合、1回の転職に限り、最初の就職日から起算して雇用継続期間が6ヶ月に達すれば対象となります。

Q3. B型からA型へ移行した利用者も算定できますか?

算定できません。一般企業等への就労が条件であり、A型事業所への移行は対象外となります。

Q4. 離職と就職を繰り返した場合、その都度算定できますか?

できません。過去3年間に現在の事業所や他の事業所で就労移行支援体制加算の算定対象となった実績がある場合、原則として算定できません。

まとめ:専門的支援を収益と支援の質に繋げるために

就労移行支援体制加算は、就労継続支援B型事業所において、利用者さんの一般企業への就労と定着を後押しし、事業所の経営を安定させるために重要な制度です。本加算を適切に取得・運用することは、事業所の収益安定だけでなく、より質の高い就労支援体制の構築や、利用者さんそれぞれの特性に合ったサービス提供に直結します。 複雑な要件解釈や体制整備について不安がある場合は、専門のサポートやシステムを活用することも一つの手です。

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執筆者 : 松本 夏奈

大学卒業後、船井総合研究所に新卒入社。 現在は、障がい福祉業界専門コンサルタントとして、主に児童発達支援・放課後等デイサービス・就労継続支援の立ち上げや運営改善を支援。 経営者に伴走し、業績アップに貢献していくのはもちろん、 その先にいる現場スタッフと利用者の満足度と質を向上させることに注力することで、長く生き残り、持続的に成長し続ける企業の創出に尽力している。