【就労継続支援B型対応】目標工賃達成指導員配置加算の算定要件と単位数を徹底解説

  • 障がい福祉
公開日
更新日
執筆者松本 夏奈
コラムテーマ障がい者就労支援,加算・減算
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障がい福祉において、利用者さんの工賃を向上させることは、就労意欲を高め、自立を支援するための重要な役割の一つです。そうした利用者さんの工賃アップを目指し、専門の指導員を配置して積極的に取り組んでいる事業所を評価・支援する「目標工賃達成指導員配置加算」という制度があります。このコラムでは、就労継続支援B型事業所向けに、「目標工賃達成指導員配置加算」の算定要件、単位数、そして実務上の注意点を分かりやすくご説明します。

目標工賃達成指導員配置加算とは?(制度の概要)

目標工賃達成指導員配置加算とは、就労継続支援B型事業所において、利用者さんの工賃アップを図るための「工賃向上計画」を作成し、目標工賃の達成に向けて取り組む専門の職員(目標工賃達成指導員)を常勤換算で1人以上配置した場合に算定できる加算です。 この加算の大きなポイントは、人員を手厚く配置することで事業所の収益を向上させつつ、利用者さんの工賃向上という事業所本来の目的達成を下支えする仕組みであることです。また、令和6年度の報酬改定では、本加算に加えて、実際に工賃目標を達成した場合に算定できる「目標工賃達成加算」も新設され、セットでの取り組みが推奨されています。

目標工賃達成指導員配置加算の単位数(就労継続支援B型)

本加算の単位数は、事業所の利用定員に応じて細かく分かれています。令和6年度の報酬改定により、単位数が見直されました。

利用定員 報酬単価
20人以下 45単位/日
21人以上40人以下 40単位/日
41人以上60人以下 38単位/日
61人以上80人以下 37単位/日
81人以上 36単位/日

※月間の算定額は「所定単位数 × 当月の延べ利用数 × 地域単価」で算出されます。

算定するための必須要件(チェックリスト)

目標工賃達成指導員配置加算を確実に算定するためには、以下の要件を遵守する必要があります。

目標工賃達成指導員を常勤換算で1.0人以上配置すること

非常勤職員複数名の組み合わせでも可能ですが、合計で常勤換算1.0人以上の配置が必要です。なお、特定の資格は不要ですが、管理者や職業指導員等との同時並行的な兼務は認められません。

手厚い人員配置基準を満たしていること

令和6年度改定の要件として、以下の人員配置が必要です。
・職業指導員および生活支援員の総数が「6:1以上」であること。
・上記に加え、目標工賃達成指導員を含めた3職種の総数が「5:1以上」であること。
※これらを満たすため、基本報酬として「就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)または(Ⅳ)」を算定していることが前提となります。

工賃向上計画を作成・提出していること

単なる形式ではなく、工賃アップを実現するための具体的な取り組み(生産活動の見直し、販路拡大、人材育成など)を盛り込んだ計画を作成し、行政機関に提出していることが求められます。

指定権者への事前届出

算定を開始する月の前月15日までに、都道府県知事または市町村長へ加算届等の必要書類(工賃向上計画書や勤務体制一覧表など)を提出し、事前に届出を行っていること。

【Q&A】実務で迷いやすいポイント

Q1. 目標工賃達成指導員が有給休暇を取得した場合、その期間の加算や常勤換算はどうなりますか?

A. 一般的に、常勤の職員が労働基準法に基づく年次有給休暇を取得した場合、そのお休みした時間は「勤務したもの」として常勤換算に含めることができます。したがって、有給休暇の取得によって直ちに加算の算定要件を満たさなくなることはありません。

Q2. 年度途中で「工賃向上計画」の目標金額に届かないことが確実になった場合、加算は返還する必要がありますか?

A. 「目標工賃達成指導員配置加算」については、人員配置要件を満たし、計画に基づいて指導等の業務を適切に行っていれば、結果的に目標工賃が未達成に終わったとしても加算を返還(過誤)する必要はありません。ただし、「目標工賃達成加算」は前年度の目標達成が要件となるため、未達成の場合は翌年度に該当の加算が算定できなくなります。

Q3. サービス管理責任者が作成する「個別支援計画」と、目標工賃達成指導員が関わる「工賃向上計画」は別々に作ればよいですか?

A. 書類としては別々になりますが、内容はしっかりと連動させる必要があります。「工賃向上計画」は事業所全体の目標や方針を定めるものですが、それを実現するためには、利用者ごとの「個別支援計画」にも工賃アップに向けた具体的な課題や支援内容(例:〇〇の作業工程を習得し、工賃〇〇円を目指す等)を反映させ、事業所の目標と個人の支援内容に整合性を持たせることが実務上強く推奨されます。

Q4. 目標工賃達成指導員が行うべき「日々の記録」はどのようなものを残せばよいですか?

A. 日々の支援記録(業務日誌等)において、「工賃向上に直結する業務」を具体的に記録しておく必要があります。例えば、「〇〇企業へ新規開拓の電話営業を行った」「作業効率を上げるための新しい治具を考案・作成した」「利用者へより単価の高い作業のスキルアップ指導を行った」などです。単なる「作業の見守り」など、他の職業指導員と同じ業務内容しか記録されていない場合、実地指導(運営指導)で加算の返還を求められるリスクがあるため注意が必要です。

まとめ:専門的支援を収益と支援の質に繋げるために

目標工賃達成指導員配置加算は、就労継続支援B型事業所において、利用者さんの工賃向上を後押しし、事業所の経営を安定させるために重要な制度です。本加算を適切に取得・運用し、手厚い人員配置を行うことは、事業所の収益安定だけでなく、より質の高い就労支援体制の構築に直結します。しかし、複雑な要件解釈や人員配置の計算、計画書の作成に不安がある場合は、専門のサポートや専用システムを活用することも一つの手です。

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執筆者 : 松本 夏奈

大学卒業後、船井総合研究所に新卒入社。 現在は、障がい福祉業界専門コンサルタントとして、主に児童発達支援・放課後等デイサービス・就労継続支援の立ち上げや運営改善を支援。 経営者に伴走し、業績アップに貢献していくのはもちろん、 その先にいる現場スタッフと利用者の満足度と質を向上させることに注力することで、長く生き残り、持続的に成長し続ける企業の創出に尽力している。