児童発達支援や放課後等デイサービスにおいて、医療的ケアが必要なお子さまや重症心身障害児を安心・安全に受け入れるため、医療機関や訪問看護ステーションなどの看護師等と連携する体制を評価するのが「医療連携体制加算」です。
自所に常勤看護師を配置することが難しい事業所であっても、外部の訪問看護ステーション等から看護師の訪問を受け、医療的ケア児の受入れやスタッフへの指導・受診調整などの体制を整えることで、報酬を算定することができます。
本コラムでは、公的資料に基づき、医療連携体制加算の区分(Ⅰ〜Ⅶ)、単位数、具体的な算定要件、アンド間違いやすい公的Q&Aまでを解説します。
医療連携体制加算とは?概要と対象業種
医療連携体制加算は、児童発達支援や放課後等デイサービスにおいて、医療機関や訪問看護ステーション等との連携により、看護師等が事業所を訪問して障害児に対する直接の看護を行ったり、事業所のスタッフに対して医療的ケア(喀痰吸引等)の指導を行ったりした場合に評価される加算です。
対象となる業種
- 児童発達支援(センター型含む)
- 放課後等デイサービス
常勤の看護職員を自所で直接雇用していなくても、外部医療機関等との契約・連携によって体制を構築できるため、医療的ケア児の受け入れ口を広げるための重要な加算となっています。
医療連携体制加算の区分と単位数一覧
医療連携体制加算は、看護師等の「訪問目的」「支援時間」「指導・看護の内容」に応じて、(Ⅰ)から(Ⅶ)までの7つの区分に細分化されています。
| 医療連携体制加算 | 対象と時間 | 単位数 |
|---|---|---|
| 医療連携体制加算(Ⅰ) | 障がい児に看護を行った場合(1時間未満) | 32単位/日 |
| 医療連携体制加算(Ⅱ) | 障がい児に看護を行った場合(1時間以上2時間未満) | 63単位/日 |
| 医療連携体制加算(Ⅲ) | 障がい児に看護を行った場合(2時間以上) | 125単位/日 |
| 医療連携体制加算(Ⅳ) | 医療的ケア児に看護を行った場合(1人・4時間未満) | 800単位/日 |
| 医療的ケア児に看護を行った場合(2人・4時間未満) | 500単位/日 | |
| 医療的ケア児に看護を行った場合(3~8名・4時間未満) | 400単位/日 | |
| 医療連携体制加算(Ⅴ) | 医療的ケア児に看護を行った場合(1人・4時間以上) | 1,600単位/日 |
| 医療的ケア児に看護を行った場合(2人・4時間以上) | 960単位/日 | |
| 医療的ケア児に看護を行った場合(3~8名・4時間以上) | 800単位/日 | |
| 医療連携体制加算(Ⅵ) | 認定特定行為業務従事者へ喀痰吸引等の指導を行った場合 | 500単位/日 |
| 医療連携体制加算(Ⅶ) | 認定特定行為業務従事者が、医療機関等と連携して喀痰吸引等を実施した場合 | 250単位/日 |
※認定特定行為業務従事者とは、都道府県から認定証の交付を受け、施設などで喀痰吸引や経管栄養などの医療ケアを行う介護職員等のことです。主な要件として、喀痰吸引等研修の修了、都道府県への認定申請、登録特定行為事業者への所属が必要です。
※地域区分単価に応じ、単位数に単価(10円〜11.2円程度)を乗じた金額が支給されます。
各区分の詳細と具体的な算定要件
実務上で利用頻度が高い主要な区分について、要件を詳しく確認していきましょう。
■医療連携体制加算(Ⅰ)〜(Ⅲ):一般看護(時間による区分)
外部の医療機関や訪問看護ステーション等の看護師が事業所を訪問し、「障がい児」に対して直接看護を行った場合に算定します。訪問時間(1回の訪問につき8人を上限)によって区分が分かれます。
(Ⅰ)1時間未満:32単位 / 日
(Ⅱ)1時間以上2時間未満:63単位 / 日
(Ⅲ)2時間以上:125単位 / 日
■医療連携体制加算(Ⅳ)・(Ⅴ):医療的ケア児への長時間看護
スコア表の項目に規定する医療行為を必要とする「医療的ケア児」に対して、専門的な看護を行った場合に算定します。看護を受けた児童の人数によって1人あたりの単位数が変動します。
(Ⅳ)4時間未満の看護:1人なら800単位、2人なら500単位、3〜8人なら400単位 / 日
(Ⅴ)4時間以上の看護:1人なら1,600単位、2人なら960単位、3〜8人なら800単位 / 日
■医療連携体制加算(Ⅵ):福祉スタッフへの指導
看護師等が事業所を訪問し、研修を修了した職員(認定特定行為業務従事者)に対して、特定の児童への喀痰吸引や経管栄養などの「手技の指導」を行った場合に、1日につき500単位を算定します。
■医療連携体制加算(Ⅶ):福祉スタッフによる喀痰吸引等の実施
指導を受けた認定特定行為業務従事者(福祉スタッフ等)が、実際に児童に対して喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを実施した場合に算定します。 ※2024年度(令和6年度)の改定により、単位数が100単位から250単位へ増加し、主として重症心身障害児を支援する事業所でも算定可能となりました。
算定上の注意点と他加算との関係
実務において不支給や返還リスクを防ぐため、以下のポイントに注意が必要です。
- 契約・委託体制の整備:加算を取得するためには、訪問看護ステーションや医療機関等との間で、あらかじめ業務委託契約や連携協定を正式に結んでおく必要があります。
- 基本報酬・他加算との兼ね合い:重症心身障害児に対する基本報酬を算定している児童や、医療的ケア区分1〜3の基本報酬を算定している児童に対しては、(Ⅰ)〜(Ⅵ)の重複算定はできません。(※加算Ⅶのみ重心型等の基本報酬算定時でも併算定が可能です)
- 看護職員加配加算との重複不可:自所で「看護職員加配加算(Ⅰ・Ⅱ)」を算定している事業所・児童については、医療連携体制加算を算定することはできません。
- 看護記録・指導記録の保管:医師からの指示書や、看護師等が訪問した際の日時・指導看護内容・状態変化などを記録した記録書を事業所内で適切に管理・保管しておくことが必須です。
よくあるご質問
Q1:訪問看護ステーションから訪問する看護師は、医療保険や介護保険の訪問看護として訪問して事業所でケアを行っても加算対象になりますか?
A1:いいえ、算定できません。
医療保険や介護保険の給付による訪問看護として訪問している時間帯については、本加算の対象外となります。
医療連携体制加算は、事業所が訪問看護ステーション等と契約を結び、事業所の体制構築や直接支援として委託費用等を支払って受け入れる連携を評価するものです。医療保険等の訪問看護給付と事業所からの報酬請求で二重給付(重複請求)とならないよう、契約形態と費用負担の整理が必要です。
Q2:医療連携体制加算(Ⅵ)(看護師による指導)と、医療連携体制加算(Ⅶ)(福祉スタッフによるケア)は同じ日に同時に算定できますか?
A2:はい、要件を満たしていれば同一日であっても併算定が可能です。
例えば、看護師が事業所を訪問して認定特定行為業務従事者に喀痰吸引の指導を行った(加算Ⅵ:500単位)上で、その指導に基づき認定特定行為業務従事者が対象児童に実際の喀痰吸引等を行った(加算Ⅶ:250単位)場合、適切な記録を残しておくことでそれぞれを算定することができます。
Q3:医療連携体制加算(Ⅶ)を算定する場合、指導を行う看護師は毎回ケアの現場に同席していなければなりませんか?
A3:毎回の同席は不要ですが、定期的な指導・評価を受けていることが必要です。
認定特定行為業務従事者が実際にケアを行うごとに加算(Ⅶ)を算定しますが、ケアを実施する当日に必ずしも看護師が現場に立ち会う必要はありません。ただし、定期的に加算(Ⅵ)等に基づく看護師からの適切な指導・評価を受けており、手順書に沿って安全にケアが提供されている体制が維持されていることが条件となります。
まとめ:地域の福祉を守り、安定した事業運営を行うために
医療連携体制加算の活用は、常勤の看護師を確保することが難しい事業所であっても、地域医療機関や訪問看護ステーションと強力なタッグを組むことで、医療的ケア児の受入れ体制を整えられる非常に有意義な仕組みです。
2024年度改定では、加算(Ⅶ)が250単位へ大幅増額されるなど、現場のスタッフによるケア評価も手厚くなりました。適切な連携により報酬上乗せが可能となり、外部委託コストやスタッフ研修費用を適切に補填しながら、専門性の高い事業所として地域での信頼を高めることができます。
しかし、基本報酬や看護職員加配加算との重複制限、契約書の整備や実施記録の保管など、公的基準を厳格に順守しなければ運営指導での過誤返還リスクが発生します。一次情報のルールを正確に理解し、計画的に連携体制を構築していきましょう。
式の一次情報を正しく理解し、計画的に加算取得の手続きを進めていきましょう。
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