介護保険報酬改定2024年対策セミナー 講演録【通所介護版】

2024年6月4日配信

カテゴリ:
介護

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報酬改定に伴う概要

今回の改定では基本報酬が1.59%増となりましたが、そのうち0.98%は処遇改善加算で、職員への還元が強調されています。実質的には大きな変更はありません。

昨年12月に診療報酬改正があり、今年6月からのスケジュール変更が議論されましたが、デイサービス等は4月1日から新基本報酬で始まります。3月現在、書類更新が必要です。報酬は2~3単位増ですが、コスト増で利益率は下がります。コスト補填は不可で、営業強化が必要です。地域密着型通所介護は750から753単位に増えます。

認知症対応型通所介護の改定について、訪問介護との統合を目指す複合型サービスの設立は見送られました。国は小規模多機能型の増加を望んでいますが、これも保留となりました。要介護1、2の地域支援事業への移行も同様です。利用者負担の見直しに関しては、所得基準の変更が検討されていましたが、これも見送りとなりました。2027年の改定で変更があるかもしれません。

デイサービスの運営方針は変わらず、地域包括支援センターの体制整備は進んでおり、株式会社などが運営を担う事例が増えています。
これにより、介護認定や予防段階からの地域との連携強化が期待されます。地域支援の委託のご検討を。

主要な変更点

今回の主要トピックは、科学的介護推進加算の変更です。機能訓練のアウトカム評価が、6ヶ月から3ヶ月ごとの更新に変わります。67%の事業者がこのデータを使用しており、今後は3ヶ月ごとに成果を確認し検証する必要があります。これは介護の質の向上を目指す国の方針です。年2回の評価が年4回に増えますが、体力測定と組み合わせれば効率化が可能です。詳細は後ほど説明します。

改定事項には、BCPの重要性が含まれます。感染症や災害への備えは必須で、事業継続計画(BCP)の策定が求められます。未策定の事業所は減算対象です。

処遇改善加算は、特定とベースアップが統合され、申請が容易になりました。配分方法は多様ですが、書類が1つになり業務負担が軽減されます。外国人人員基準の緩和もあります。基本報酬は加算で維持されています。

デイサービスの機能訓練と運営

デイサービスでは、機能訓練の充実が重要です。かつてはレスパイトが中心でしたが、2006年以降、個別機能訓練が導入され、デイサービスとデイケアの境界があいまいになりました。2015年から2018年にかけて、機能訓練が定着し、成果が求められるようになりました。歩行距離の延長や日常生活動作の改善など、アウトカムの確認とゴール設定が必要です。

成果を上げた事業所には加算が適用され、デイサービスは成果型の体系へと変化しています。病院では退院支援が促されるように、デイサービスでも利用者の状態改善を目指すアウトカム加算が導入されました。そして、令和3年の改定では、コロナ禍の中で0.7パーセントのプラス改定が行われました。コロナは私が担当するデイサービス現場でも発生しており、完全なゼロコロナは難しいです。しかし、五類移行後、事業者は営業強化や人材採用、オペレーション更新でアフターコロナに対応しています。令和3年度はコロナ対策が重要でしたが、今期は介護人材への投資に注力します。これは賃金の低さと人材不足の改善のためです。また、介護ベテランの引退も新たな課題です。人材不足には賃金提供と処遇改善加算が必須です。

地域包括ケアシステムと自立支援

地域包括ケアシステムの推進、自立支援、重度化防止が重要です。デイサービスは在宅支援の役割があります。リハビリや脳トレがデイサービスの主要な役割です。ケアは一部で、機能訓練が中心。改定では自立支援が強調され、「入浴介助加算」の点数は変わらず。研修実施が義務化され、入浴介助の質向上が目指されています。入浴介助は自宅での入浴能力向上のトレーニングも含むべきですが、現実は単なる介助に留まることが多いです。特に要介護者には、着脱や入浴動作のトレーニングが重要です。研修では職員だけでなく利用者もトレーニングを行います。「個別機能訓練加算」は、指導員の数により点数が異なりますが、基本は56単位です。ロの点数は85から76に減少しましたが、配置時間の規定が撤廃されました。これにより、整骨院などは柔道整復師がいる時間に加算が可能です。午後のリハビリで加算を受けることもできます。しかし、2人を配置している事業所は人件費で不利になるかもしれません。

加算取得のための戦略

個別機能訓練加算2により、ライフデータ入力で20単位が算定可能です。1つの加算のみの事業所もデータ入力で算定できます。1と2の加算を同時に取得することが望ましいです。機能訓練指導員の配置時間は、短時間勤務でも加算が可能に。科学的介護推進加算は、体力測定を年4回実施し、他の加算と組み合わせて申請します。これにより、業務効率化が図れます。加算の見直しで、体力測定は年4回に増えました。初回提出時は、他の加算と一括管理が容易です。ADL維持等加算は取得事業者が少なく、要件複雑さが一因です。ADL利得は重要なバーセルインデックスで評価され、点数が上がると3段階で評価されます。改定では、ADL利得1は変わらず、2のハードルが上がります。事業者はADL加算取得に向け、段階的なアプローチが望ましいです。

ADL加算は、利用者が10名以上の場合に適用されます。以前は3単位、6単位でしたが、不十分との意見を受けて30単位、60単位に増加しました。事業者はADL加算を併せて算定すべきです。しかし、取得率は通所介護で2.6%、地域密着型で0.3%と低いです。国は算定率向上を目指しており、セミナー参加者にはADL加算への挑戦を促します。算定率の低さは、要件の複雑さにあります。日々の業務に加え、書類作成が必要ですが、よりシンプルなフォーマットが求められています。

処遇改善加算や機能訓練加算は、改善され易くなりました。4月からは、加算が明瞭になり、現場の努力が報酬に反映されるようになります。私が顧問を務める現場では、ADL加算の導入があり、実は難しくありません。興味関心シートやバーセルインデックスを用い、簡単なデータ入力とフィードバックで対応できます。多くの現場ではライフデータの活用が不十分ですが、これを使って職員の一体感を高めることに期待しています。ADLの共有や可視化により、歩行能力や自立したトイレ使用、食事・会話量の増加などの進歩が明確になり、職員は自らの貢献を実感しモチベーションが向上します。また、多職種連携の重要性を感じており、ライフイベントを通じて連携を深め、機能訓練の計画を適宜調整することが必要です。ケアマネージャーの参加は重要で、ケアプラン作成に留まらず、サービスやリハビリ計画にも関与すべきです。

マーケティングには、単なる営業チラシ配布より、利用者データの共有が効果的です。これにより、利用者の信頼を得て、紹介やリピートに繋がります。営業に頼らず、ケアマネージャーとの連携を深めることで、施設の評判が新規顧客を呼びます。また、デイサービスの職員は利用者との接触時間が長く、情報を持っています。この情報を活用し、営業ネタにし、競争力を高めるべきです。介護保険制度には、自立支援により利用者が元気になると収入が減るという矛盾があります。これは業界の大きな課題です。しかし、東京都をはじめとする自治体では、介護度改善にインセンティブを与える動きがあります。「要介護度改善ケア奨励事業」では、介護度が改善すると最大40万円の報酬が出ますが、ADL維持等加算を算定している事業所に限られます。これにより、サービス提供者は自立支援による収入減を補うことができます。

機能訓練指導員と多職種連携

機能訓練指導員の役割は、訓練提供と書類作成に留まらず、介護職員指導やケアマネージャー連携が必要です。提供加算関連の書類作成は基本業務で、介護スタッフとの連携強化が重要です。これにより、指導員の変更があっても訓練の質が保たれます。また、ケアマネージャーとの連携も重要で、情報提供が必要です。指導員の役割は多岐にわたることを認識し、方針を伝え、4月からの動きを変えるようにしてください。処遇改善加算は約9%の増加が見込まれ、キャリアパス要件を含め取り組むべきです。情報は追って提供されますが、3月から4月にかけて説明会が開催されるので参加し、要件変更はなく上位加算を目指してください。処遇改善加算、特定加算、ベースアップが一本化され、一つの申請で取得できます。

外国人人材の活用

外国人人材は人員基準に含めることが可能になりました。管理者の勤務要件が明確になり、兼務が可能です。書面はウェブ掲載が義務化されます。送迎時の相乗りが可能になり、送迎の効率化が図れます。処遇改善加算による賃金上昇が重要です。賃金の適切な引き上げが必要です。求人に応募がない現状は、条件の悪さが原因です。「求人に反応がない」との相談が多いですが、賃金が市場価格を下回っていることが一因です。人を惹きつけるためには、魅力的な賃金や福利厚生を提供する必要があります。処遇改善加算の算定を求人に記載し、具体的な給与額を示すことが重要です。

「寄り添う介護」のスローガンではもはや人材は集まりません。数字が重要です。

事業継続計画と今後の展望

BCPや認知症研修は既に完了しています。

ライフ機能訓練の加算取得や稼働率の維持も重要です。稼働率が80%を超えても、人件費率が高ければ利益は出ません。人件費率を55%以下に抑えるためには、内部体制の見直しが必要です。

デイサービスの経営実態調査では、赤字施設が増加していることが示されています。新規開設と閉鎖が共に発生しています。

稼働率と営業力の重要性

稼働率の重要性について話します。季節による変動はありますが、年間平均で80%は必要です。80%未満なら、管理の見直しやサービス改善が必要です。60%や70%ではビジネスとして成立しません。主力事業であればなおさらです。株式会社など収益が求められる場合、80%未満は許容できません。稼働率向上には力を入れ、困難なら専門家に相談を。

損益分岐点は営利法人で77%、それ以外で71%です。これを基に赤字かどうかを判断し、職員に共有しましょう。規模別の定員数は記載済みです。改善は可能で、小さな霊園でも強みがあります。14年のコンサル経験で、成功例もあります。

職員は利用者のために努力しており、外部への適切な発信で新規利用者を獲得できます。営業改善に取り組めば、成果は伸びます。

マーケティング戦略

立ち上げの思いを持ち、営業ツールを刷新し、連携を見直すことを勧めます。

人材課題は会議体系を変更して解決し、一歩ずつ前進できます。

報酬改定に伴い、デイサービスの次の段階への進化を図りましょう。料金上昇やサービス変更が利用者に影響を与える可能性があります。特に要介護1、2の方々のサービス提供に変化が生じるかもしれません。稼働率の低下は許されず、営業強化が必要です。また、デイサービスの周辺事業や多角化によるリスク分散も重要です。地域社会を支える法人への発展を目指しましょう。

お読みいただきありがとうございました。

  

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この記事を書いたコンサルタント

今村 大樹

医療・介護に特化した経営コンサルタント 新規開設及び経営改善コンサルティングの実績は延べ300社を超えている。 「デイサービスは地域を支えるインフラとして絶対に潰れてはいけない」 「デイの収益改善に少しでも力になりたい」との思いからデイに特化した勉強会を企画。 地方の小規模事業所から大手法人、運営母体では株式会社・社会福祉法人・医療法人、 業態では入居施設・デイサービス・自費サービスなど幅広い知識を持ち、 業界や地域を代表するクライアントも多いことから、介護事業の活性化を通じた地域課題の解決や業界発展を理念としている。

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