訪問看護の急増はいつまで続くのか?

2023年5月19日配信

カテゴリ:
新規参入 介護

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訪問看護ステーションの増加が続いています。
この10年で6,590件から13,554件と、2倍以上の増加です。
施設事業とのシナジーや、低投資・高収益を見込める事業性の魅力から、新規参入や多店舗展開をお考えの方も多いのではないでしょうか。
一方で、「市場は今がピークでは?」「後発の参入は難しいのでは?」と疑問に思われている方もいらっしゃることと思います。

今回のコラムでは、訪問看護ステーションの立ち上げ・運営の支援を担当するコンサルタントより
・なぜ、訪問看護“だけ”がこれほど増えているのか?
・訪問看護は、まだ増え続けるのか?
・今から新規参入できるのか?
上記の3つの疑問にお答えいたします。

1. なぜ、訪問看護“だけ”がこれほど増えているのか?

介護サービス施設・事業所調査より、2012年から2021年までの訪問看護、訪問介護、通所介護の事業所数の推移をまとめました。

出所:介護サービス施設・事業所調査

訪問介護、通所介護は近年ほぼ横ばいで推移していますが、訪問看護は前年比5%以上で増え続けています。2021年は、コロナ禍の影響を受けながら、過去最大の前年比1,161件の増加となっています。
訪問看護だけがこれほど増加しているのは、①在宅療養のニーズ拡大、②報酬改定の優遇、③高い経営効率の3点が要因として考えられます。

①については、2012年以降の地域包括ケアシステムの推進、2019年以降はコロナ禍で在宅療養を望む患者が増えたことで訪問看護のニーズが拡大しました。
②については、これまでリハビリのマイナス改定はありましたが、看護師の訪問についてはプラス改定が続いており、訪問1件あたりの収入は約9,000円と高単価になっています。
③については、固定資産を持たない訪問看護は経営効率が高く、利回りは施設事業を大きく上回ります。建築費が高騰している昨今、イニシャルコスト2000万円で参入でき、スタッフ1人100万円を売り上げられる訪問看護は、改めて注目すべき業態と言えます。

さて、訪問看護の増加はいつまで続くのでしょうか?

2. 訪問看護は、まだ増え続けるのか?

この10年間の訪問看護の利用者数の推移は以下の通りです。

出所:介護サービス施設・事業所調査

事業所数の伸びと共に利用者数も大きく増加し、直近2年間も前年比10%以上の増減率となっています。
地域差はありますが、全国的にはまだ需要逼迫の状況とはなっていません。
利用者の要介護度や、介護保険、医療保険の別で見ると、より具体的な傾向を読み取ることができます。

出所:介護サービス施設・事業所調査

介護度別に見ると、2018年までは要支援者や、要介護1~2の軽度者の利用が伸びていましたが、2019年以降は要介護3以上の利用者が伸びています。その要因は明らかに2018年の報酬改定です。
また、訪問看護は介護保険、医療保険のいずれかが適用されますが、より増加が著しいのは医療保険の利用者となっています。

出所:介護サービス施設・事業所調査

推移を見ると、徐々に医療保険の利用者の割合が高くなっていることが分かります。
ターミナルケアや医療的処置が中心の医療保険の利用者が増えているという事実は、これから参入や運営を行うにあたって、必ず抑えておきたいポイントです。

3. 今から新規参入できるのか?

結論から言うと、今参入するのがベストです。
事業所は増えていますが、それ以上のペースで利用者が増えていますし、介護保険制度は一貫して地域包括ケアシステムを推進しています。
将来的なマイナス改定を懸念し、参入を躊躇する方もいらっしゃいますが、梯子を外されることを恐れて登らないのでなく、梯子がかかっているうちに登るのが制度ビジネスの正解です。

 

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この記事を書いたコンサルタント

津田 和知

津田 和知

大手介護事業者の介護付き有料老人ホーム施設長を経て、船井総合研究所に入社。前職の経験を活かし、現場主義で問題の本質や改善の糸口を掴み、経営者のサポートを行う。
コンサルティング領域は、介護事業全般の経営改善や訪問看護ステーションの立ち上げ、人事制度構築、厚生労働省調査研究事業への参画など。

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