介護・障がい福祉の複合施設運営と就労支援モデルの統合戦略

北海道で実現する介護と障がい福祉のシナジー効果:北叡会の複合施設運営モデル
北海道江別市に拠点を置く社会福祉法人北叡会は、介護事業からスタートし、その後、障がい福祉サービスへと事業領域を拡大することで、地域に根差した多様な福祉ニーズに応える複合施設運営モデルを確立しました。全国的にも珍しい先進的な取り組みとして注目です。

複合施設を活用したサービス展開
北叡会では、特別養護老人ホーム、ショートステイ、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と住宅型有料老人ホーム(有料)の高齢者向け入居施設に加えて、就労継続支援(A型・B型)、デイサービス、生活介護といった複数のサービスを複合的に展開しています。

<入居施設における障がい福祉サービス利用者への対応>
北叡会の有料老人ホームやサ高住は、高齢者だけでなく、障がい福祉サービスの利用者も積極的に受け入れ、住まいの選択肢を広げています。これは単なる複合化ではなく、地域における多様なニーズに応えるための戦略であり、特に障がい者の住宅を増やしていくという明確な計画のもとに進められている分野です。住まいの選択肢が限られがちな障がい者にとって非常に大きなニーズがあることを示しています。
なお、介護度は要支援など軽度の方から受け入れており、介護度が高くなっても併設している小規模多機能を活用し住み続けられる環境を整備しています。そして、高齢者には訪問介護サービス、身体障がい者へは居宅介護・重度訪問介護等のサービスを提供しています。

<生活介護事業の現状>
生活介護事業では、定員20名に対して、開設当初は身体障がい(身障)の方が多かったものの、現在は知的障がいや精神障がいの方の利用が増えている状況です。この地域で生活介護を単独で運営している事業所が少ない中、北叡会がこの分野の受け皿として機能していることがわかります。

介護と障がい福祉の連携による相乗効果
最も注目すべきは、介護部門と障がい福祉の就労継続支援(A型・B型)との連携です。
この連携は、施設の安定的な運営に不可欠な業務と、障がい者の働く機会を創出するという二重のメリットを生み出しています。
北叡会は、就労支援事業を単なる福祉サービスとしてではなく、法人全体の人材戦略の一環として戦略的に位置づけています。

<就労継続支援A・B型の具体的な作業内容>
就労支援A型とB型は、それぞれ作業場所と内容を分けることで、より効率的かつ専門的なサポートを実現しています。

職員や利用者が円滑に連携できるよう、就労支援の利用者はユニフォーム、働く場所で明確に区別されています。
●就労継続支援A型の利用者
グリーンのポロシャツを着用し、主に特別養護老人ホーム「夢あかり」・デイサービスで仕事。介 護アシスタント(介護補助)業務、リネン交換、環境整備など。生活支援員・職業指導員による指導と、介護職員との連携のもと実践的なスキルを習得しています。

●就労継続支援B型の利用者
オレンジのポロシャツを着用し、仕事場は地域密着型特養「夢つむぎ」。共用部分の清掃(居間、トイレ等)、施設外の公園清掃(夏場)など。施設の運営に必要な安定した清掃業務を担っています。

この色分けにより、入居者や職員は安心して協働することができています。施設運営に必要な業務と就労支援を直結させることで、安定した仕事の確保と施設環境の向上という二重のメリットを生み出しています。

<利用者・職員双方へのメリット>
施設外の作業環境は季節や天候によって左右されますが、施設内の清掃業務は安定して提供でき、利用者の定着にも寄与しています。また、施設側から見ると外部業者ではなく馴染みのある就労支援の利用者が清掃を行うことで入居者からの受けも良く、職員間の連携もスムーズになるため運営面で非常に助かっていると感じられています。

独自の就労支援モデルと未来への展望
北叡会は独自の就労支援モデルを構築しており、この仕組みが結果的に法人全体の人材不足解消という大きな課題に対しても貢献しています。

<就労支援を人材確保に繋げる戦略>
北叡会では、特に就労A型の利用者が施設内清掃を担うモデルが、単に作業機会を提供するだけでなく、将来的な人材確保の基盤にもなっています。

<就労支援事業から一般職への転換>
清掃業務などを通じて施設の雰囲気に慣れた就労A型の利用者が、その後、一般の介護職員として直接雇用に切り替わるケースが複数発生しています。これは、外部から採用するよりも、すでに施設の文化や業務に慣れた人材を内部で育成・確保できる、非常に効率的な戦略です。

<外国人採用と比較>
法人としては世間でトレンドとなっている外国人採用よりも就労支援モデルの統合戦略の方がメリットが大きいと感じています。外国人採用に伴う研修期間や日本語教育のコスト、そして文化的なミスマッチのリスクに比べ、日本の障がい福祉サービス利用者は現場への順応性が高く、職員のサポート体制(支援員)もあるため、定着が図りやすいという判断があるためです。

<介護職の確保と教育体制>
就労継続支援(A型)でも、清掃作業のほかに介護アシスタント (介護補助)業務を行っており、生活支援員・職業指導員によるOJT(オンザジョブトレーニング)的な指導と、介護職員との連携のもと、現場で実践的にスキルを習得しています。介護経験を持つ職員が障がい福祉分野への理解を深めながら、相互の領域で活躍できる体制を築いています。

成長に向けた次なる一手
北叡会は、介護と障がい福祉の複合運営において、複数の相乗効果を生み出していますが、さらなる成長に向けては課題も認識しています。

<事業の収益性向上>
就労継続支援B型は、現状で収益はプラスになっているものの法人として収益性を高めるには、外部からの売上を増やす次のステップが必要です。また、利用者の継続的な賃金向上に繋げることが今後の課題とされています。

<人材不足への対応>
この規模の法人であっても、介護職員の人材不足は深刻な課題として認識されており、スポットワーカーサービスも活用しつつ、若手職員の定着とキャリアアップの仕組み作りに注力しています。
また、施設の雰囲気が良く、職員の定着率が高いのは、相互に連携し支え合う人間関係の良好さによるところが大きく寄与しています。

北叡会は、介護と障がい福祉の統合戦略と独自の就労支援モデルによって、高齢者と障がい者が共に暮らし、働く機会を創出する、非常に社会性の高いモデルを築き上げています。これは、福祉業界が直面する人材不足や多様なニーズへの対応に対する、一つの明確な答えを提示しています。

 

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