A.介護事業所のBCP 策定は「作ること」より「使える状態にして回すこと」が肝要です。2024年改定ではBCP未策定が減算対象となり、訪問介護では要件化、訪問看護では所定単位数の1%減算も示されています。経営者が継続方針(優先業務・停止判断)を先に決め、雛形を土台に自法人の体制へ落とし込み、初動訓練と定期見直しで定着させると実効性が高まります。
「BCP策定」は、2024年度改定を機に各事業所が様式に沿った書面化を進めていきました。
感染症または災害のBCPが未策定、または策定していても計画に沿った必要な措置が講じられていない場合に未策定減算の対象となります。
非常時にいかにサービスを提供していくのか?という事に対して「判断の速さ」と「代替手段」を設計できているかが重要です。
手順1
いざという時の、会社としての“優先順位と判断基準”を先に決めます。
緊急時に現場が止まるのは「何を優先するか」「誰が決めるか」が曖昧なときです。
会社として
- ①優先業務(安否確認、服薬・医療連携、食事・排泄、記録・請求など)
- ②縮退運転(止める/残す業務)
- ③判断権限(担当者と代理の順位)
- ④いざという時が、どのような時なのか?の基準(震度、警戒レベル、欠勤率、停電・断水の時間など)
- ⑤対外窓口(家族・ケアマネ・医療機関)
というルールを言語化し、有事の際に何をしたらいいのか?を明確にします。
手順2
ひな形はあくまで“叩き台”。自社の実際の運営を想定する。
厚労省の例示入りひな形は着手を早めますが、固有情報の修正と、様式(連絡先・備蓄・優先業務)を自法人の実態で埋めていくことが重要です。
通所系は“送迎中に被災する”前提で、事業所内だけでなく移動中の判断(中止/継続、帰宅支援、避難)まで書き切ることが求められます。
自然災害は、事業所の危険度を把握することが出発点です。
市町村のハザードマップに加え、ハザードマップポータル等で洪水・土砂・高潮・津波・地震を重ね、避難場所まで確認します。
台風・大雨など判断が遅れがちな災害はタイムラインを理解し、休止・縮小を前倒しで決められる状態にします。
通所中に被災した場合の家族連絡、帰宅・避難の手順も具体化します。
手順3
ライフライン停止は“具体名”で代替手段を書きます
水道は「飲料水/生活用水」に分け、確保策と削減策を記載します。
通信は①停電で電話が使えない②通話集中でつながらない③停電が続くと基地局停止でスマホの通話・データ通信ができない(約6〜24時間)という3点で検討し、メールやSNSでの安否確認も用意します。
トイレは配管破損や下水道停止で流せない前提で、簡易トイレまで落とします。
手順4
感染症BCPは“最新版前提”で、マニュアルと分けて運用します
新興感染症リスクや5類移行を踏まえた整理が示されています。
感染対策は別途マニュアル化し、BCPは「情報の流れ」「初動で止める/残す」「休業・縮小判断」を中心に、迷わない形にします。
手順5
訓練→見直しで定着させます
朝礼10分のロールプレイで初動と連絡を回し、詰まった点を翌週に修正する。
備蓄は保管場所・担当者・調達先まで見える化し、初動・連絡・判断を1枚にした“緊急時カード”を配布する。
これを年1回訓練と入職時オリエンテーションに組み込むことで、減算回避に留まらない、いざという時のサービス提供力が組織に根づきます。
完璧を目指すほど負担が増え、更新されず形骸化します。
まずは「判断基準・連絡網・備蓄・初動」を埋めて、訓練で“使える形”に整えること。
BCPを整え、非常時も地域のケア提供という役割を全うできる事業所として、家族・紹介元・そして職員からも信頼される施設づくりを進めていきましょう。







