A.デイの稼働率改善は、事業所の状態や商圏によって最適な選択が変わります。①現状のデイのまま、強みの見える化と体験後フォロー、欠席理由の整理、振替徹底をKPIで回して稼働率を上げます。②共生型へ転換し、高齢と障がいの受入れで利用層を広げ、稼働の波を小さくします。③就労B型を付加し、制度ミックスで収益の柱を増やします。
デイサービスの稼働率が伸び悩むとき、つい「レクを増やす」「送迎を工夫する」といった施設内のオペレーション改善に目が向きがちです。もちろん重要ですが、競争が激しいエリアほど「やれることは一通りやった」となり、現場改善だけでは伸びが頭打ちになることもあります。
そこで船井総研では、業績改善を三つの打ち手で整理します。今のデイの形のまま稼働率を上げる、共生型へ転換して利用層を広げる、就労継続支援B型を付加して売上の天井自体を上げる。順番に全部やることが目的ではなく、自社の商圏や競合状況、人員体制に合わせて選ぶことが肝です。
① 今のデイのまま稼働率を上げる
稼働率は、新規成約、利用回数の適正化、キャンセル抑制の三つに分けると焦点が明確になります。実施して終わりにせず、月次、できれば週次でKPIを確認し、未達理由と次週の行動量まで落とし込みます。
1)新規成約 紹介される理由を販促物に反映する
機能訓練、入浴、食、認知症対応、看護体制など強みを「どんな方に合うデイか」で短く言語化し、ツールにまとめます。体験後は当日か翌日に連絡し、報告を標準化すると成約率が安定します。
2)利用回数の適正化 通所のリズムを取り戻す
一度休んだことをきっかけに欠席が続き、キャンセルが習慣化する方がいます。体調面や不安、家族都合、送迎負担など背景を整理し、再開しやすい曜日や時間帯から通所ペースを整えます。ケアマネには欠席理由と再開方針を簡潔に共有し、過不足がない頻度へ調整します。
3)キャンセル抑制 欠席連絡を振替提案までワンセットにする
電話口で候補日を提示し、当日中に確定するルールにします。体調不良が多い層には前日確認や看護師の声かけで予兆を小さく管理します。
運用の肝 問い合わせから体験、成約までと、欠席から振替までを一元管理する担当、期限、次アクションを見える化する管理表があるだけで、フォロー遅れや報告漏れが減り、稼働率の底上げが進みます。
② 共生型デイサービスへ転換し、利用層を拡張する
通常デイ単体の勝負が厳しい地域では、利用対象を広げて稼働の波を小さくする打ち手になります。
共生型へ転換する価値
- 障がい側の利用で稼働を補いやすい
- 家族、相談支援、学校、医療など紹介ルートが増えやすい
- 地域の受け皿として評価が上がり、連携が強まる
- 追加投資を抑えながら進められる
- 進め方のポイント
- 地域ニーズを整理し、受け入れる方の像を明確にする
- 活動、環境、職員体制、リスク管理を整える
- 報告の型、連絡頻度、緊急時手順を決めて情報連携する
- 既存利用者と家族へ丁寧に説明し、不安を先回りして解消する
小さく始め、段階的に広げる設計が現実的です。
③ 就労継続支援B型を付加し、売上の天井自体を上げる
収益の柱をもう一つ持ち、制度ミックスで安定性と伸び代を作ります。設計次第では、間接業務の切り出しや現場負荷の分散につながる場合もあります。
B型付加の価値
- 介護保険一本足から分散し、安定性を高めやすい
- 生産活動を売れる形にできると伸び代が出やすい
- 企業や自治体との連携が広がり、紹介や評判に波及しやすい
一方で、商品、顧客、単価、継続性を具体化した売上設計が不可欠です。運営体制と管理機能が回る状態を作ってから進めます。
まとめ
デイサービスの業績改善には三つの打ち手が推奨です。
今のデイのままで、稼働率を上げる営業戦略、また2つの事業戦略である①共生型への業態転換②障がい事業(就労B型)の業態付加。
複数のシナリオを持ちながら、早めに勝ち筋を固めていきましょう。







