生活介護サービスにおいて、利用者様への支援の質を左右するのは「人員体制の手厚さ」です。質の高い支援体制の確保と事業収益の向上を同時に実現するための有効な手段として、「人員配置体制加算」が設けられています。 このコラムでは、生活介護における「人員配置体制加算」について、算定要件、単位数、対象となる職種、そして実務上の注意点を分かりやすくご説明します。
人員配置体制加算とは?(制度の概要)
人員配置体制加算とは、通常の人員基準で定められた配置に加えて、手厚く人員を配置した場合に算定される加算です。 単なる報酬アップだけでなく、より手厚いケアを必要とする利用者様に対し、安全で質の高い支援を持続的に提供できるようにする狙いがあります。加算の区分は要件のハードル(人員配置の手厚さなど)に応じて(Ⅰ)から(Ⅳ)までの4段階に分かれています。
【一覧表】人員配置体制加算の単位数まとめ
利用定員の規模(20人以下、21人〜60人以下、61人以上)や加算の区分によって、取得できる単位数が異なります。
| 加算区分 | 利用定員20人以下 | 利用定員21人以上60人以下 | 利用定員61人以上 |
|---|---|---|---|
| 人員配置体制加算(Ⅰ) | 321単位/日 | 263単位/日 | 245単位/日 |
| 人員配置体制加算(Ⅱ) | 265単位/日 | 212単位/日 | 197単位/日 |
| 人員配置体制加算(Ⅲ) | 181単位/日 | 136単位/日 | 125単位/日 |
| 人員配置体制加算(Ⅳ) | 51単位/日 | 38単位/日 | 33単位/日 |
【併給についてのルール】
人員配置体制加算は、複数の区分を同時に算定することはできません。基本的には最も要件を満たしている上位の加算のみを算定します。例えば、人員配置体制加算(Ⅱ)を算定している場合は、人員配置体制加算(Ⅰ)を併せて算定することはできません。
対象となるサービスと職種・資格のルール
■ 対象となる職種
加算の対象(直接職員)となるのは、直接利用者様の支援やケアを行う以下の職種です。
- 生活支援員
- 看護職員
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
算定するための必須要件(チェックリスト)
人員配置体制加算を確実に算定するためには、人員の配置状況や利用者様の障害支援区分(区分5・6等)の割合が以下の要件を満たし、実務フローを遵守する必要があります。
① 人員配置体制加算(Ⅰ)の要件
- 直接職員(看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、生活支援員等)の総数が、常勤換算方法で前年度の利用者の数の平均値を1.5で除した数以上であること。
- 障害支援区分が区分5もしくは区分6、またはこれに準ずる者(行動関連項目合計が10点以上である者、もしくは区分4以下で喀痰吸引等を必要とする者)の総数が、利用者の数の合計数の6割(60%)以上であること。
② 人員配置体制加算(Ⅱ)の要件
- 直接職員の総数が、常勤換算方法で前年度の利用者の数の平均値を1.7で除した数以上であること。
- 障害支援区分が区分5もしくは区分6、またはこれに準ずる者の総数が、利用者の数の合計数の6割(60%)以上であること。
- 人員配置体制加算(Ⅰ)を算定していないこと。
③ 人員配置体制加算(Ⅲ)の要件
- 直接職員の総数が、常勤換算方法で前年度の利用者の数の平均値を2で除した数以上であること。
- 障害支援区分が区分5もしくは区分6、またはこれに準ずる者の総数が、利用者の数の合計数の5割(50%)以上であること。
- 人員配置体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定していないこと。
④ 人員配置体制加算(Ⅳ)の要件
- 直接職員の総数が、常勤換算方法で前年度の利用者の数の平均値を2.5で除した数以上であること。
- 人員配置体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)を算定していないこと。
※人員配置体制加算(Ⅳ)は利用者の平均区分(障害支援区分)に左右されない加算ですので、まずは(Ⅳ)を目指していくのが現実的です。
【Q&A】実務で迷いやすいポイント
Q1. 直接職員の常勤換算は、どのように計算しますか?
前年度(1年間)の平均利用者数を用いて計算します。例えば、前年度の平均利用者数を1.5、1.7、2.0、2.5のいずれかで割った数以上の直接職員(生活支援員、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)を常勤換算で配置している必要があります。
Q2. 区分5・6に「準ずる者」とは、具体的にどのような人ですか?
生活介護においては、行動関連項目合計が10点以上である者、または障害支援区分が区分4以下であっても喀痰(かくたん)吸引等を必要とする者がこれに該当します。
Q3. 人員配置体制加算の算定には毎月どのような書類作成が必要ですか?
毎月、勤務体制一覧を作成し、要件通りの手厚い人員配置が実際に維持されているかを常にチェック・記録管理する必要があります。
Q4. 処遇改善加算との併給はできますか?
併給可能です。処遇改善加算の計算ベースとなる「総単位数」には各種加算分も含まれるため、人員配置体制加算を取得することで、結果として処遇改善加算の受給額(事業所全体の売上)も増加します。
まとめ:手厚い人員配置を収益と支援の質に繋げるために
手厚い人員配置の維持は容易ではありませんが、人員配置体制加算を正しく運用できれば、人件費コストをカバーしつつ、事業所の収益性と支援の質を同時に高めることができます。 ただし、職員の退職等により配置要件を満たさなくなった場合は、算定できなくなるため、速やかな届出が必要です。要件割れ(人員不足)に気づかず請求を続けると返還金(自主返還)の対象となるため、毎月の勤務体制一覧の作成など、正確な人員管理体制を整えましょう。
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