保育所、幼稚園、小学校などの集団生活において、自傷・他害行為や強いこだわりなどの行動障害が見られる児童に対し、適切な環境調整や専門的支援を行う上で重要なのが「強度行動障害児支援加算」です。
保育所等訪問支援は、児童本人への直接支援に加え、訪問先施設(保育所・学校等)のスタッフ(保育士・教員等)への助言や支援方法の共有を通じて、集団生活への適応を支えるサービスです。本加算を活用する際も、訪問先と連携しながら環境調整を進める視点が重要になります。
本記事では、最新ルール、算定要件、支援計画シートの作成プロセス、運営指導対策に役立つチェックリストまで解説します。
強度行動障害児支援加算とは?(制度の概要)
著しい行動障害(自傷、他害、器物破損、強いパニック等)により集団生活への適応が困難な児童に対して、専門的な支援を行った場合に算定する加算です。算定には、事業所に強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者を配置し、その実践研修修了者が「支援計画シート」を作成することが必要です。そのうえで、実践研修修了者または基礎研修修了者が、支援計画シートに基づいて訪問支援を行った場合に算定できます。大きな特徴は、「訪問先施設(保育所や学校)の環境や集団の中で、どのように行動障害を予防・緩和するか」という視点です。事業所内での支援にとどまらず、訪問先での構造化(視覚的支援や環境調整)を保育士や教員とともに実践することが評価されます。
【決定版】単位数・要件一覧
本加算は、強度行動障害を有する児の受入促進と支援体制の充実を図る観点から、
専門スキルを持つ訪問支援員が評価・支援を行うためのものです。
| 単位数 | 200単位/日 ※対象児童1人に対し、訪問実施日ごとに算定 |
| 対象となる児童 | ・強度行動障害を有する児 (児基準20点以上) ・市町村による児の判定が必要 |
| 必須の届出 | 都道府県等への基準適合の届出(体制届出)が必要 |
| 職員の配置要件 | ・強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者を1名以上配置すること(必須) ・訪問支援は、実践研修修了者または基礎研修修了者が支援計画シートに基づいて行うこと ※実践研修修了者は児童発達支援管理責任者が兼ねることも可能です。 |
| 支援・計画の要件 | ・「支援計画シート」は実践研修修了者が作成すること。 |
支援計画シートの作成と運用ルール
① 支援計画シートの作成
集団活動でのパニックや行動のきっかけ(先行刺激)をABC分析等で観察します。その上で、実践研修修了者が中心となり、訪問先で実践可能な環境調整(パーテーション設置、視覚的スケジュールの提示等)を整理した「支援計画シート」を作成します。
【重要ルール1】
基礎研修修了者が実際の訪問支援を行う場合は、実践研修修了者が「1月に1回以上」、当該児の観察を行い、支援計画シート等に基づく支援が行われていることを確認する必要があります(訪問して行うことが望ましいですが、オンラインや記録等による確認も認められています)。
【重要ルール2】
支援計画シートについては、「3月に1回程度の頻度」で見直しを行うことが義務付けられています。集団生活での行動変化を定期的に記録・評価し、継続的に更新してください。
② 他機関との連携
対象児が他の通所支援事業所(児童発達支援や放課後等デイサービスなど)も利用している場合は、当該事業所と情報交換を行って支援を進めるよう努めることが必要です。
算定するための必須要件(チェックリスト)
運営指導での指摘や返還を防ぐために、最低限確認しておきたい項目をまとめました。自治体によって運用が異なる場合があるため、不明点は指定権者(都道府県等)や市町村に確認してください。
① 対象児の判定:市町村による判定を受け、児基準20点以上であることが確認できているか(受給者証の記載や、判定に用いた調査票の写しを保管しているか)。
② 体制届出の完了:都道府県等へ加算を取得する旨の届出(変更届)を事前に提出し、受理されているか。
③ 実践研修修了者の配置:事業所に「実践研修修了者」が1名以上配置されており、修了証(原本または写し)を備え付けているか。基礎研修修了者が訪問する場合は、その修了証も備え付けているか。※基礎研修修了者のみの配置では算定できません。
④ 支援計画シートの作成:「実践研修修了者」が、訪問先の環境に合わせた「支援計画シート」を作成しているか。
⑤ 見直しの実施:支援計画シートは「3月に1回程度の頻度」で定期的に見直しが行われているか。
⑥ 月1回の確認記録:基礎研修修了者が訪問している場合、実践研修修了者が「1月に1回以上」オンラインや記録等で支援状況を確認し、その記録を残しているか。
⑦ (推奨)関係機関との情報連携:他の通所支援事業所を利用している場合、情報交換を行った記録が残っているか。
【Q&A】実務で迷いやすいポイント
Q. 児童発達支援事業所と保育所等訪問支援の双方で「強度行動障害児支援加算」を算定できますか?
A. 算定可能です。サービス提供日時が異なり(同一日であっても提供時間帯が重複していなければ可)、それぞれの事業・サービスにおいて加算要件を満たしていれば、双方の事業所で各自算定できます。
Q. 訪問先の保育士が強度行動障害の研修を受けていなくても加算は取れますか?
A. 算定可能です。 研修要件が求められるのは、訪問する事業所側の「訪問支援員」です。訪問先施設のスタッフが研修を修了している必要はありません。むしろ、研修修了者である訪問支援員が訪問先スタッフへ専門的助言を行うことが本加算の趣旨となります。
Q. 訪問支援員特別加算など、他の加算との併算定は可能ですか?
A. 原則として併算定可能です。 訪問支援員特別加算(専門的人員配置の評価)と強度行動障害児支援加算(特定障害児への専門支援の評価)は評価対象が異なるため、双方の要件を満たしていれば同時に算定できます。
まとめ:戦略的な事業運営のために
保育所等訪問支援における強度行動障害児支援加算は、集団生活に悩む児童や訪問先施設を強力にバックアップできる価値ある加算です。
一方で、訪問先とのスムーズな連携体制づくりや、運営指導に耐えうる支援手順書・訪問記録の整備など、専門的な運用ノウハウが必要となります。
「保育所等訪問支援での加算取得を進めたい」「訪問先との連携・書類作成の効率化を図りたい」などのお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
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