保育所等訪問支援の報酬(給付費)は、ベースとなる「基本報酬」に各種「加算・減算」が加わり、最終的に「地域区分単価」を掛け合わせることで決定します。本コラムでは、メインである基本報酬の構造、算定の必須要件、および地域区分を徹底解説します。
保育所等訪問支援の基本報酬と時間区分
保育所等訪問支援の基本報酬は、1回につき以下の単位数が設定されています。訪問支援時間が「30分以上」であることが算定の前提条件です。
| 区分 | 単位数(1回につき) | 特徴・留意点 |
|---|---|---|
| 保育所等訪問支援給付費 | 1,071単位 | 訪問支援時間が30分以上の場合に算定(原則、30分未満は算定不可) |
「地域区分単価」との掛け合わせ
保育所等訪問支援の最終的な売上(給付費総額)は、基本報酬や加算の合計単位数に、事業所が所在する自治体の「地域区分単価」を掛け合わせて算出されます。全く同じ1,071単位の支援を行っても、地域区分による調整によって売上に差が生じます。
給付費の具体的な算出式:総請求額 = (基本報酬単位 + 加算単位 − 減算単位) × 地域区分単価
【算定例】基本報酬(1,071単位)を1回提供した場合の地域別売上差
- 1級地(東京都23区など:単価11.24円)の場合: 1,071単位 × 11.24円 = 12,038.04円 → 12,038円
- その他地域(町村部など:単価10.00円)の場合: 1,071単位 × 10.00円 = 10,710円
※基本報酬1回あたり1,328円の収益差が生じます。訪問支援員特別加算などの加算を組み合わせることで、地域区分単価による引き上げ効果はさらに増大します。
算定の必須要件
保育所等訪問支援給付費を正しく算定するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
①訪問支援時間:30分以上というルールと注意すべきポイント
訪問支援時間の30分以上は、「訪問先における直接支援の時間(児童本人へのアプローチ、および施設の先生方への支援方法の提案・協議)」が原則です。注意すべきポイントとして、訪問前後に事業所外で行う保護者への説明・同意取得やフィードバック等の時間はこの30分に合算することはできません。また、訪問先の敷地内で行う場合であっても、保護者のみを対象とした個別のフィードバック等の時間も、原則として30分に含めることはできません。要件管理の際は、「訪問先での直接支援の時間」と「その他の時間」を明確に区区別して記録してください。
②保育所等訪問支援計画の作成・保護者同意
児童発達支援管理責任者が、保育所等訪問支援計画(個別支援計画)を作成し、保護者から事前に同意を得ることが必要です。計画が未作成のまま支援を行った場合は減算の対象となります。また、令和6年度改定より、計画には5領域(「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)との関連を明確化することが運営基準上求められています。
③訪問支援員の配置要件
訪問支援員は「訪問支援員」という独立した資格ではなく、以下のいずれかの資格・要件を満たす職員が担当します。
- 児童指導員、保育士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員
- 上記と同等以上の経験・能力を有すると自治体が認める者
④同一日・同一場所での複数児支援時の減算に注意
1人の訪問支援員が同一日・同一場所で複数の障害児を支援した場合、所定単位数の93%が算定されます(7%減算)。
【Q&A】実務で迷いやすいポイント
Q1. 30分以上の「訪問支援時間」には、訪問前後に事業所外で行う保護者へのフィードバック時間も含まれますか?
A1. 含まれません。訪問先における児童本人へのアプローチ、および施設の先生方への支援方法の提案・協議が原則として算定の基礎となります。訪問前後に事業所や自宅等で行う保護者への説明・同意取得・フィードバック等の時間は30分に含めることはできません。また、訪問先の敷地内で行う場合であっても、保護者のみを対象とした個別のフィードバック等の時間も、原則として30分に含めることはできません。
Q2. 保育所等訪問支援において、30分未満の支援しか提供できない日があります。その場合でも基本報酬を算定できますか?
A2. 原則として算定できませんが、例外があります。保育所等訪問支援の対象となる複数の障害児が同じクラスに在籍している場合や同じ活動に参加している場合等には、明確に個々の障害児ごとに時間を区分せずに、同時並行的に行動観察を行うことや、障害児本人への支援などが行われることも想定されます。このような場面では、活動時間等の事情により、必ずしも対象となる障害児ごとに30分以上の支援時間を確保できない場合があっても差し支えありませんが、その場合であっても、障害児ごとのニーズに応じた支援内容が十分に担保される必要があることに留意してください。
Q3. 保育所等訪問支援と児童発達支援・放課後等デイサービスを同一法人で運営している場合、訪問支援員は両方の事業を兼務できますか?
A3. 兼務自体は可能ですが、加算算定上の「専従」とは認められません。児童発達支援または放課後等デイサービス(通所系)と保育所等訪問支援(訪問系)を一体的に行う場合、両事業を通じて配置されている同一の従業者は、事業所から離れて訪問支援を行うこととなるため、「専従」要件を満たさないものとされています。
まとめ
保育所等訪問支援では、1回あたり1,071単位という高い基本報酬が設定されていますが、30分以上の要件管理や訪問先との連携、さらには事業所所在地の地域区分単価の正確な把握が経営安定化に直結します。加算取得の最適化や実地指導に強い書類整備にお悩みの方は、業界最大級の支援実績を誇る船井総合研究所にご相談ください。
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