介護業界の人的資本経営:ふれあいグループさまの新卒採用成功事例

はじめに

事業拡大を目指す介護施設において、高卒のキャリア採用は、若くて体力があり、柔軟性も高い人材を確保できるという大きなメリットがあります。給与面のコストを抑えながら、施設で必要なスキルをじっくり育成することで、将来的に中心となる人材へと成長させることが期待できます。

また、新卒を採用することで人材の多様性を確保し、組織全体の活性化にもつながります。特に地方の施設では、人手不足解消の有効な手段となり、地域との連携強化にも役立ちます。人物や資質が重視される介護の現場では、高卒採用は大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。

今回は静岡県内での新卒採用に尽力し、さらにキャリア育成の仕組みを実現した『ふれあいグループ』の新卒採用活動担当である杉本氏に成功の秘訣をインタビューさせていただきましたので、ご紹介いたします。

Q1:ふれあいグループ様の今年度の新卒採用実績について教えてください。また、採用人数の内訳についても教えていただけますか?

A:今年度の新卒採用実績としては、専門課程高卒4名、専門卒3名、大卒1名を採用しました。年間の全体採用人数は約100名で、内訳としては、中途採用が約70%、外国人採用が約20%、新卒が約10%となっています。

Q2:新卒採用活動における現状についてお聞かせください。

A:将来的にリーダーや管理職を目指せる人材を採用したいと考えており、現在は、採用ターゲットの絞り込みを行っています。以前は、キャリアアップに興味・関心を持つ新卒が少なかったのですが、実績を積み重ねる中で、学校との信頼関係を作り上げ、持続的な新卒採用活動を行っております。

Q3:新卒採用の中でも高卒採用で工夫したことはどのようなことでしょうか?

A:従来のブース出展や学校訪問だけでは効果が薄いと感じています。そのため、施設見学や学校での講演を積極的に行っています。また、過去には初任者研修を夏休みに校内で実施することで、優秀な学生との早期接触を図る施策を行ったこともあります。

さらに、採用後のフォローアップの取り組みとして、進路指導担当者に対して、卒業生がふれあいグループで活躍していることを伝えるための「サンクスカード」を送るといった取り組みを行っています。

従来のブース出展や学校訪問ももちろん行うのですが、それだけでは効果が薄いと感じ、 これらの取り組みを積極的に行うようにしました。

Q4:高校や専門学校との連携強化についても教えてください。

A:実習の受け入れや資格取得支援を通じて、ふれあいグループの魅力をアピールしています。過去には、学校側からの要望により、夏休み中に介護初任者研修の資格取得ができる実習を生徒向けに行いました。
また、年に1名、介護の未来ナビゲーターという静岡県の施策に、代表の職員を選出して参加させる取り組みも行っています。選ばれた職員は、出身校の授業などに参加し、業界の先輩として介護の魅力を発信します。
例年は専門卒の職員が選出されますが、今年は、地域の高校卒の職員を選出しました。

Q5:新卒採用後の人材育成に関して工夫されていることやポイントはありますか?

A:無資格者は1ヶ月間の研修を経て現場配属を行います。また、国家資格取得の費用負担や外部研修機会の提供を行うことで、早期のキャリアアップを応援しています。その他福利厚生として、社宅制度や退職金制度、バースデーボーナス、有給休暇推奨制度、育児休暇制度などを設けており、従業員が働きやすい環境を提供しています。
また、入社2年目の職員に、先輩としての自覚を持ってもらうため、新入職員研修に参加してもらう独自の取り組みも行っています。
今後はさらに多くの職員に、施設の代表としての自覚を持ってもらうためにも、介護技術コンテストなどへの参加をしてもらおうと考えています。

Q6:新卒採用後のモデルケースはどのように想定されていますか?

A:役職に縛られず、各々が技術や能力を伸ばすことに集中できるような評価制度のもと、
専門卒であれば約3年、高校卒業であれば、5年ほどで現場リーダーレベルの技能を取得してもらえるよう育成過程を構築しています。 

Q7:今から高卒採用を始めたい施設がするべきことは何だと思われますか?

A:大きく分けて4つ準備するべきことがあります

①「新卒」に特化した育成計画の策定 「新卒」に特化した育成計画の策定が最も重要だと考えています。当然ですが、新卒採用と中途採用は、社会人としての経験や介護職としての経験がありません。よって、中途採用の職員と同じように、入職後1か月程度のOJTを行った後に現場に入れば育つ、ということはありません。

②2カ月のOJTとフォローアップの取り組み 入職後は最低でも2カ月のOJT期間を設け、その後もフォローアップ研修や面談等をきめ細かく行うことが重要です。さらに、入職後何年でどのポジションにつき、どのようなスキルやスタンスを身に着けてもらうかを事前に想定した上で、管理者や本部が関わることが重要だと考えています。

③新卒でも活躍できるキャリアパス制度の設計 その上で、本人の能力と処遇が連動したキャリアパス制度を設けることが必要です。年齢や勤続年数で昇給するという形のキャリアパス制度ですと、本人のモチベーションも高まらず、頑張っても頑張らなくても処遇が変わらないということになりますので、先ほど述べたキャリアパス制度の設計にしています。

④優秀な新卒の母集団を最大化すること まずは、優秀な新卒の母集団をより多く形成することです。業界への興味関心以上に本人の人間性や性格(素直であるか等)を重視しています。

《企業紹介文》 ふれあいグループ 設立:2004年9月1日 本社:〒410-0022  静岡県沼津市大岡2262-4

主に静岡市、沼津市、富士市などを中心に32の事業所を展開し、福祉用具を扱うグループ会社と共に、地域の高齢者の方々に対して横断的なサービスを提供している。 同社は杉本氏を中心に、計画的な新卒採用活動を行っており、12年間で82名の新卒採用実績を残している。

企業HP:https://w-being.jp/

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