【札幌・事例】開設 2 年の苦戦から「待機者が出る施設」へ ~サ高住併設型・定期巡回における集客・組織づくりとは?~

サービス付き高齢者向け住宅「ゴールドヒルズ平岸」
北海道札幌市でサ高住「ゴールドヒルズ平岸」と定期巡回事業所を運営する株式会社two.seven。
現在はキャンセル待ちが出るほどの稼働率を誇りますが、開設当初は認知不足やコロナ禍により、単月黒字化まで約 2 年を要する苦しい時期もありました。 そこからいかにして集客を立て直し、介護福祉士中心のチーム編成で高収益体質へと転換させたのか。地域性や
事業形態の特性を活かした、具体的かつ堅実な運営戦略を早川朋希氏に伺いました。

「代表取締役会長 清水 宏保氏」
企業紹介
株式会社 two.seven、北海道札幌市を拠点とし、元スピードスケート選手の清水宏保氏が代表を務める企業。リハビリやフィットネス事業で培ったノウハウを活かし、2018 年に定期巡回事業所を併設したサービス付き高齢者向け住宅(50 戸)を開設。「自宅にいながら施設のような安心感」をコンセプトに、医療・介護・リハビリを包括的に提供しています。

「取締役社長 早川 朋希氏」
Q&A 形式
Q1. (株式会社船井総合研究所) サ高住に定期巡回・随時対応型訪問介護看護を併設すると
いう形態をとられていますが、この事業モデルを選ばれた背景を教えてください。
A.(早川氏)私たちはもともとリハビリやフィットネス事業を行ってきましたが、高齢者の
方々が安心して住み続けられる「住まい」を提供したいと考え、サ高住の開設に至りました。
その際、併設するサービスとして定期巡回を選んだのは、24 時間の対応が可能であり、短時間
かつ頻繁な介入ができるという「柔軟性」があったからです。 リハビリや医療的ケアが必要
な方に対し、施設と同等の手厚いケアを自宅(サ高住)で提供できる点が、私たちの目指すサ
ービスと合致していました。
Q2. (株式会社船井総合研究所)開設当初はどのような課題に直面し、それをどう乗り越えら
れたのでしょうか。
A.(早川氏) 最大の課題は、地域のケアマネジャー様や利用者様の間で定期巡回の認知度が低
く、そのメリットが伝わりづらかったことです。さらに開設 1 年後にはコロナ禍の影響もあ
り、サ高住の入居が進まず、事業単体での黒字化までに約 2 年という期間を要しました。 し
かし、粘り強くサービスの柔軟性や「看取りまで対応できる安心感」を伝え続けたことで、
徐々に信頼を得ることができました。現在は満室状態が続き、待機者が出るまでの施設へと成
長しています。
Q3.(株式会社船井総合研究所) 厳しい時期を経て、現在の高稼働・高収益体制を築くために
実行した具体的な戦略を教えてください。
A.(早川氏) 大きく「集客手法の見直し」と「介護度の適正化」の 2 点に取り組みまし
た。 以前は病院や居宅への訪問営業を中心に行っていましたが、現在は主に紹介会社や Web
ポータルサイトの活用に切り替えています。自社で営業担当を抱えて足を運ぶよりも、コスト
パフォーマンスが良いという判断です。なお、集客および収支の安定においては、当社がこれ
まで培ってきた運動・リハビリ分野の強みも大きく影響しています。デイサービスや訪問看護
においてリハビリ提供を積極的に行っていることが、ニーズとマッチして集客の相乗効果につ
ながります。
また、定期巡回は包括報酬ですので、利用者様の状態変化を適切に評価したうえで区分変更申
請を相談するなど、単価管理(介護度の適正化)をスタッフ全員で意識するようにしました 。
そのために、多職種が集まるケアカンファレンスを開催したり、「生活の様子」を毎月とりまと
めてケアマネジャーに報告するなど、ただサービス提供を行うだけではなく、気づきと対応を
大切にすることで、状態に合わせた評価の推進につなげることができました。これにより、結
果として現在は定期巡回の介護部門単体で営業利益率 20%以上を確保できています。
Q4.(株式会社船井総合研究所) スタッフの定着や質の向上については、どのような工夫をさ
れていますか。
A. (早川氏) 弊社の特徴として、スタッフのほぼ全員が「介護福祉士」の有資格者であるこ
とが挙げられます。これにより、オペレーターと訪問介護員を職種で分けることなく、全員が
どちらも対応できる柔軟な人員配置が可能になりました。 また、収益性が向上した分、スタ
ッフの給与ベースを開設当初と比較して 4〜5 万円ほど引き上げるなど、処遇改善にも力を入
れています。高いスキルを持つスタッフに長く働いてもらうことが、結果としてサービスの質
と運営効率の両立につながっています。
Q5.(株式会社船井総合研究所)これから定期巡回の運営を検討されている、あるいは運営に
悩まれている事業者様へメッセージをお願いします。
A. (早川氏) 定期巡回は「運営が難しい」と思われがちですが、しっかりと収益を上げられ
る事業です。 また、医療連携や看取り対応も含め、地域に根ざした深いケアができる点は、
スタッフにとっても大きなやりがいになります。最初は苦労もあるかもしれませんが、妥協せ
ずに質の向上に取り組めば、必ず地域に選ばれる事業所になれると確信しています。

「現場スタッフの皆様の集合写真」











